ゲームUIとは?
掲載日: 2025/04/03
UIデザイナーとして日々働く中、初心を忘れずにUIと向き合うための記録です。
これからUI制作に挑む方や、今まさに心を砕いている方の参考になればと思います。
1.ゲームUIは何のためにあるの?
まず初めに、私が考えるUIの役割についてお話します。
ネットで検索するとユーザーインターフェースの定義が難しく説明されていますが
一言で言うと
ゲームとユーザーの橋渡しを行い、ユーザー体験を向上させるためのものだと考えています。
どんなに革新的で面白いシステムを用意しても、目的や操作方法が分からなければその素晴らしさは伝わりません。
ユーザーがゲームをプレイする上で感じるストレスを可能な限り減らし、ゲームに没頭できるよう環境を整えることこそが、UIの役割であると考えています。
2.具体的にどんなものがUIなの?
それでは、ゲーム内に存在している要素のどこからどこまでの要素がUIと呼ばれているのでしょうか?
私は画面に映るほぼすべての視覚情報※はすべてUIに含むと考えています。
(※キャラクターや背景、アーティスト性の高いイラストや戦闘エフェクト等のグラフィックは本記事では情報として扱わないため除外しています)
ですが、視線誘導や視認性を意識したレイアウトやフォントの選定を始め
操作順を可視化するアニメーションの設定等、UIの仕事はデザインだけにとどまりません。
また、ローカライズが必要なタイトルでは言語が変わっても成立する設計が必要ですし
身体的にハンデを抱えるユーザーを考慮した配色等、求められる要素は様々です。
他セクションが開発したデータやグラフィックを最も効果的に引き立たせるという点では、画面に映るすべての情報に関連しているというのは間違いではないのです。
3.UIがユーザーに与える影響
UIはゲームの進行はもちろん、ユーザーの意思決定にも影響を与えます。
前述の項目でも述べましたが、ゲームの目的や操作可能な機能を正しく提示しなければユーザーがそれらを理解することはできません。
また、適切な情報を提示してもユーザーがゲームに対して意欲的でなければ情報の理解度はさらに低下してしまいます。
そこで、ユーザーのモチベーションや集中力を維持するために気を付けたいポイントを下記で掘り下げたいと思います。
● 直感的な操作で快適性を追求する
ゲームの操作感はユーザーの快適性に直結します。
操作・情報が複雑すぎると、情報理解のために思考コストを割かねばなりません。
ゲームの進行を助けるはずのUIがユーザーの集中を欠いては本末転倒です。
・すべてを文字で説明しようとしないこと
・情報が多数ある場合は段階的に提示する 等
情報開示の仕方をほんの少し整理するだけでも、ユーザーのストレス軽減に繋がります。
●ユーザーの没入感を追求する
UIはゲームの世界観に馴染んでいて、過度に目立ち過ぎないものが好ましいです。
例えば、中世を舞台にしたゲームなのにSF風のUIが載っていては、その違和感がノイズになってしまいます。
ユーザーがその世界の住人として没頭できるよう、世界観との調和を意識することが大切です。
●行動に対するフィードバックを提供する
ユーザーが何かを選択したり条件を達成した際、その行動に対してフィードバックを用意することで、次の行動へのモチベーション向上が期待できます。
UIにおけるフィードバックとは、目的達成を示すアニメーション演出や、アイテムを使用した際の効果エフェクト等多数の手段が考えられます。
これらの演出が快いとユーザー自身の成功体験として蓄積され、同じ体験を再度味わうためにゲームに対して意欲的に行動してくれるかもしれません。
UIはサポート中心の要素だと思われがちですが、やり方次第ではユーザー体験に大きな影響を与えることができます。
その「やり方」がユーザーにとってプラスの要素であるように常に意識したいですね。
4.UI制作で気を付けたいこと
さて、ここまでの項目で世界観との調和やユーザーへのフィードバックについて述べましたが、その上で気を付けたいことがあります。
それは、ユーザーの利益と制作者のエゴのバランスを意識することです。
ユーザーのモチベーションを高めるために良かれと思って作った演出も
過剰な派手さで異常な長尺だった場合、目にする頻度によっては大きなストレスになりかねません。
デザインを提供する人間は、表現者としてのエゴが顔を出す瞬間が度々あります。
「もっと良いものを作りたい」「もっと面白いことをしたい」と願うこと自体はとても良いことなのですが、UIにとって一番大切なことはユーザーの利益であるという前提を忘れてはいけません。
何かを実行する際に
「自分が表現したいこと」とユーザーの利益が釣り合っているかを常に考えて、双方にとって最適な形を追求出来たら良いなと思っています。
(私もまだまだなので自戒を込めて…)
まとめ
UIは、ただ情報を並べてデザインするだけでは成り立ちません。
ユーザーの操作性と没入感を向上させ、時に集中力を、時にモチベーションを育てることもあります。
UIが表立って評価されることはあまりありませんが、遊びづらいゲームは「UIが分かりにくい」と指摘を受けることがあります。
これは裏を返せば、効果を認められたUIには声が上がりづらいということであり
UIがゲームに溶け込み、橋渡しの役割を果たせていることの証明だと考えています。
過度に主張し過ぎず、ユーザーが求める物を過不足なく届ける。
とても難しいことですが、ユーザーがゲームの楽しさを120%感じられるよう、UIの意義を念頭に置いて向き合っていけたらと思います。
UIに携わるみなさん。一緒に頑張りましょう!