3D背景の心得

タイトル装飾

3D背景の心得

ゲームの世界では、昔から背景はキャラと並んでそのゲームの世界観やビジュアルを印象付ける重要な一要素を担ってきました。

ゲーム機のスペックが上がるにつれてその重要性は高まり、近年では「モンスターハンター」や「エルデンリング」に代表されるような、背景のみで世界観や設定を語るゲームも増え、ユーザーに鮮烈な印象考察する楽しみを提供する機会も多くなりました。

背景はこれから「物言わぬ感動」を届けられる可能性が増えていくと言えます。

ここではゲーム背景の制作者になる人達に向けて、背景の立ち位置や制作する上での心構えを解説します。

1.  ゲーム制作における背景の立ち位置

 ここではゲーム制作において数あるパートのうち、背景が直面している立場や課題を解説します。

・ゲームの背景はあくまで「空気」


 華やかなキャラやエフェクトとは異なり、背景はあくまで環境であり空気であることを意識してください。

 その中でその世界に起きた出来事や歴史を妄想でき、ストーリーのテンションを高めるような風景を提供することで、ユーザーに感動を与えることができます。


・背景のスペックは割と低め


 前提として、ゲーム制作にとってスペックは命ですが、 背景はゲーム内で膨大な空間を占める割に、少ないスペックの中でハイクオリティな絵を求められることが多くあります。

 大きな理由としては、近年のオープンワールドゲームに代表されるように、より広大な風景を描写することが多く、それらがゲームの「売り」になったからです。


 また、ゲームの「顔」であり、多彩な使い方をされるキャラクターに多くのスペックを割り振られることもあります。

 そのような事情から、ハイクオリティな背景を制作するためには、徹底したリソース節約を踏まえながら複雑でバリエーションに富んだ背景を作ることが要求されます。


・エフェクトはライバル


 キャラと同様にエフェクトも膨大なスペックを使用し、背景を圧迫してきます。

 背景に関係する代表的なエフェクトと言えば水(滝や川)がありますが、良い背景を作るためには美しい水のエフェクトは大変重要です。

エフェクトはスペックを取り合う間柄でありつつクオリティを高め合う良きライバルと言えるでしょう。

 

2.  3D背景の構成要素

 ここでは3D背景を構成する要素を大きく分けて3つ解説します。

・地面


 人型キャラクターが登場するゲームである以上、大地は必須と言って差し支えないでしょう。

 これらは主に巨大な板(グリッド)ポリゴンを山や谷の形状に変形させて再現します。


・アセット(オブジェクト)


 地面の上に配置される、建造物や地面だけでは表現できない足場等のギミックモデルを指します。

 植物や岩等の配置物もアセットの一部です。


・天球


 ゲーム空間というのは、何も設定しなければ真っ暗(デフォルト色)の空間が無限に広がっています。

 そこに宇宙空間や空などの空間を表現するために、巨大な球状のモデルを配置するのが一般的です。

 更に地平線や雲などの地面モデルだけでは再現できない絵も表現します。

 近年ではゲームエンジンに「空」が設定されていることがありますが、そのまま使う制作者は少ないでしょう。

3.  より良い背景を制作するための3か条

 ここでは背景を制作するうえで、意識しておくと役に立つ3つの点を提案します。

・世界観、ストーリーを意識する


 背景はむやみに物を多く置いても良い絵にはなりません。

 必ずその世界に起きたストーリーや自然現象を妄想しながら説得力のある絵作りをしましょう。


・物の構造を理解し再現する


 自然物や人工物には必ずその形をしている理由があります。

 その理由や理屈を調べることで説得力が増し、違和感のない風景が作れます。


・ランダム感を出す


 世の中に全く同じものは2つありません。

 同じ品物だとしても形や置かれ方は少しは違っているものです。

 ゲームのスペックや制限の中では難しいことですが、少しでも違う絵に見えるように配置等を工夫することで背景のクオリティは高まるはずです。

4.  まとめ

スペックを意識する


 限られたスペック内で最高の表現を目指しましょう。


世界観を語りかけるよう意識する


 世界観やそこで起きた出来事を妄想しながら、その風景である理由を意識しましょう。


構造や構成を理解する


 背景のクオリティはどんな世界観であっても、リアリティ・説得力が重要です。

 想像だけで作らずに調べるようにしてみましょう。

背景はゲーム制作の中で裏方的な存在ですが、

ゲームクオリティを左右するパートですので、少しでも興味を持って頂けると幸いです。

作者
  D.T
  デザイナー

目次

目次を生成中...